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What's NewAApril, 2003

Market Snapshot - 米国のIT市場をみる
今月のテーマ: 企業がIMを本格的に導入する理由

米国のIT業界における注目市場を月替わりで紹介する「Market Snapshot」では、市場の全体像やトレンドをわかりやすく説明。さらに役立つリンク集を活用すれば、該当市場や新製品に関するより具体的な情報も入手できます。当社では、特定の米国IT市場に関する調査をカスタマイズいたします。お問合わせは info@kanaboconsulting.com までどうぞ。

企業がIMシステムを本格的に導入する理由

今月の Market Snapshotでは、米国のInstant Messaging市場に焦点を当てる。IMと いう略称でも広く親しまれるインスタントメッセージングは、同種のソフトウエア ユーザ間でチャットを行ったり、ファイル転送するシステムである。インターネット 接続時には、PCのデスクトップ上に、事前登録した交信相手のからのメッセージ受信 通知や、オンラインチャット可能な状態である等のステータスが表示される。ユーザ は交信相手のステータスを確認しながら、リアルタイムでメッセージやファイルの交 換、チャット等ができる。同技術の歴史は1996年、イスラエルのスタートアップ企業 Mirabilis社が発表したICQ(読み:I seek you−英語では「相手探し」の意味合い) に遡る。以来、1998年にAOLがMirabilis社を買収(2億8700万ドル)したのを契機 に、現在、世界中で1億8000万人がAOL Instant Messengerを利用している。これに次 いでICQサービスが1億3000万人、1999年にスタートしたMicrosoft MSN Messengerで 7800万人、さらにYahoo! Messengerでは2100万人のユーザを抱える。Osterman Researchが2003年2月に発表した報告書によると、現在、企業内での利用割合は20% 程度であるが、2007年までには90%を上回るとの予測がある。

このような浸透率の高さと速度の背景には、ブロードバンドの普及によってインター ネットの常時接続ユーザが増加したことが考えられる。また、簡単にインストールで きる点も主な理由であろう。私的なコミュニケーションツールとして家庭用PCに無料 でダウンロードしたサービスは、会社の同僚や社外の人同士での利用へと発展して いった。その浸透度は加速の一路を辿り、2003年に入ってからはIT管理者の知らない 間にMSNやYahoo、AOLなど公衆網を通じ、米国内では2500万人のビジネスユーザへと 拡大していった(Yankee Group)。

社内におけるIM利用には、賛否両論の声がある。企業にとってのマイナス面は、IT管 理者の目に届かないため、企業ネットワークにおけるセキュリティの脆弱性が増大す る可能性がある、または仕事の生産性が劣るといった点が指摘される。かといって企 業がIM利用を禁止すれば、社員の労働意欲を損なう恐れもある。また、金融サービス やオンラインリテール業界においては、顧客との効率的で迅速な通信手段としての利 用価値を無視できない。事実、IM利用の環境として企業の占める割合は年々増加して おり、ビジネスユーザ数は2002年の3500万人から2006年には世界全体で1億1800万人 に達する見込みである(Radicati Group)。従って、昨今の企業にとってIM利用の是 否は、重要かつ複雑な問題なのである。

前述した通り、社員の個人的な判断によるIMサービス利用は、企業のセキュリティに 影響を与えかねない。例えば、証券会社ではSEC(The Securities and Exchange Commission:米証券取引委員会)の規定に則して、全ての電子メッセージについては 過去3年まで遡った記録を保存するよう義務付けられている。ところが、前述した業 界トップ3社が提供する従来のIMサービスには、CIOによるロギングおよび監視機能が 欠如していたため、ウォール街の大手証券会社5社に対し、SECの規則に反するとして 総額825万ドルの罰金が課せられた。このような経験からも、金融業界に留まらず各 界の企業では、ここまで浸透してしまったIMサービスを一掃する代わりに、プラス要 素を向上させ利益に繋げていくよう、管理とトラッキング作業を徹底する必要性を実 感し始めている。Gartnerの調査結果によると、2005年までには全体の50%に相当す る多数の企業がIMソフトウエアを導入するものとされている。企業におけるニーズに 対応するよう、ベンダ各社では充実したIMシステムの構築を本格始動するようになっ た。YahooのMessenger Enterprise EditionやAOLのAIM Enterprise Gatewayをはじ め、MicrosoftでもWindow Server IM Platformを今年の年末に発表する方針である。 また、業界アナリストらの予測では、これらキープレイヤーの他にも現在、米国には 約50社のベンダがIM市場に介在しており、エンタープライズを対象とした製品・サー ビス開発に取り組む企業の割合は増加傾向にある。

今月の役立つリンク集

Instant Messaging Planet : エンタープライズ向け、一般用、無線対応型IMに関する記事や製品比較など最新情報 を提供。

AOL Instant Messenger

Yahoo Messenger

MSN Messenger

ICQ

Rising Company - IMlogic社

IMlogic Inc.(アイエム・ロジック)

■創設時期: 2001年

■ステータス: 未公開企業

■所在地: 265 Winter Street, Suite 301 Waltham, MA 02451

■連絡先: Tel (781) 902-2500 Fax (781) 902-2510

■URL: www.imlogic.com

■従業員数:30名(2003年第1四半期現在)

■売上実績など:第2ラウンドでの調達資金をきっかけに、同社では近々、収益黒字に転じるものと予測している(2003年第1四半期現在)。

■経営陣:Francis deSouza(CEO)、Jim Drill(VP Sales and Business Development)、Elena Grinev(VP Client Services)、 Jim Kelliher(CFO)、Milan Shah(VP Engineering)、Jon Sakoda(Director of Products)

■最近の資金調達状況:2002年4月の第1ラウンドではGeneral Catalyst Partners、Kodiak Venture Partners より$375万を調達。今年1月、Venrock Associatesのリードによって完了した第2ラウンドでは$1400万を確保。同ラウンドには、上記の投資企業に加え、新たにGoldman Sachsも参加した。IMlogic社長によると、今回の投資は販売力、サポート機能、マーケティングの強化に向け運用していく方針である。

■提携先:2002年はパートナーシップの構築に取り組んだ1年であった。その結果、MicrosoftをはじめIBM、Yahoo!、Reuters各社との間で提携関係を確立。2003年に入ってからはJabberとの間でもベンダ契約を結んでいる。

■事業概要と保有技術の特徴: Flash Communications(1998年にMicrosoftが買収)の創設者としても知られるFrancis deSouza氏がボストンを拠点に起ち上げた企業で、法人向けにインスタントメッセ-ジング(以下:IM)ソフトウエアを提供している。主力製品のサーバソフトウエア「IM Manager」は、SEC(Securities and Exchange Commission:米証券取引委員会)やNASD(National Association of Securities Dealers:全米証券業者協会)、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act:医療情報の取り扱い等を定めた法案)など政府機関が設けた基準や規則に準拠しており、企業におけるIM利用の安全性確保、監視、報告機能を実行するものである。企業のファイヤーウォール内部に設置する同ソリューションは次に挙げる4つのモジュールで構成されている:@Proxy−インターネットを経由する全てのIMトラフィックに対し、リアルタイムでポリシーを適用するプロキシとして機能、AWeb Application −ウエブを利用したコンプライアンス、制御、報告、セキュリティ各機能の管理、BCapture Agent – 企業内に設置されたIMサーバを通じて送信されたメッセージの記録、CService – IM Manager ProxyおよびIM Manager Capture AgentよりXMLを解析し、SQL Server 2000データベース内にメッセージを保管する機能。保存されたログファイルをサードパーティのIMプロバイダから取り込んだり、IMアーカイブをサードパーティのDBまたはストレージソリューションに出力することもできる。同社ではクライアントアクセス・ライセンス方式を採用し、各企業の利用者数によって価格を決定。顧客ベースはMerrill LynchやBear Sternsなどフォーチュン100社をはじめ中規模の金融機関を中心に拡大しており、利用者数は2003年1月で10万人強を記録した。米国内では特に、ウォール街でその地盤を固めつつある製品で、AOL Instant Messenger、MSN Messenger、Yahoo! Messenger、 Microsoft Exchange 2000 IM、Lotus Sametime、Reuters Messaging、Jabber Communications Platformなど一般の主要なIMネットワークおよびエンタープライズIMサーバに対応している。

■競合他社について:直接的な競争関係にあるFaceTime Communicationsは、近年、ウォール街の大手ストレージブローカLegato Systemsと提携契約を締結。FaceTime Communicationsの説明によると、昨年中に成立した契約は50件にのぼり、米国の大手銀行のうち6行を顧客として抱えている。また、Bank of Americaのリードによる最新のラウンド(2003年11月完了:調達額は未公表)も含め、現在までに調達した資金は総額$4000万を上回る。IMlogicと同様IBM、Network Associates、Reuters、Microsoft、 KVS各社との提携事業に取り組むなど、パートナーシップの構築に積極的である。

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This Month's Bridge Builder
Featuring the real voice of IT across the Pacific

April, 2003 

日本における企業編成−日米両国のモデル比較

Ronald Dore教授

ロンドン大学経済パフォーマンス研究センター 上級研究員

前回のコラムでは、シリコンバレーでの実践例を参考に、日本経済の再編成を目指すアプローチについて解説した。こうした政策を実行する際の重要な検討事項は、企業の組織化であり、さらに突き詰めるとその管理体制にある。別の言い方をすれば、黒字化と並行して他の主要目標も達成させるには、企業をどのような方法で編成・管理していくかがポイントとなる。今年4月、スタンフォード大学Asia Pacific Research Centerでは「The Battle for the Japanese Corporate Soul」と題し、ロンドン大学経済パフォーマンス研究センター(London School of Economics and Political Science)上級研究員のRonald Dore教授による講演会が開催された。その中で同氏が述べた企業の編成・管理方法に対する見方は、米国型編成方法の踏襲のみに終始するものではない。 同氏の日本経済に関する専門知識と、社会および経済動向の相互作用を裏付ける近著『Stock Market Capitalism: Welfare Capitalism: Japan and Germany vs. the Anglo-Saxons』では、日米両国におけるモデルの違いに焦点を当てながら、新たな知識を創造するための企業編成の方法や戦略を取上げている。今月のBridge Builderでは、日本企業の編成と管理体制の開発方針に対するDore氏の見解を紹介していく。

Dore氏の講演は、第二次世界大戦後における日本企業の発展経緯を米国のそれと比較することで始まった。60年代、日本における近代化の促進に対し多くのアメリカ人は懐疑的であったが(これは後に、エドウィン・ライシャワー氏に対する攻撃をもたらした)、これと打って変わって80年代は、日本企業の最良例を称賛するアメリカ人で賑わった。それに続くバブル時代、米国企業の経営者らの間では、日本企業が世界で成功する秘訣が注目の的となり、米国内のビジネススクールでも日本企業の経営手法に関する授業が重要視されるようになった。しかし、90年代のバブル崩壊は日本経済の低迷とデフレをもたらし、複数の大手金融機関に決定的な打撃を与えた。その間、技術セクターを中心とした米国経済の回復は、前述した80年代の現象を日米間で反転させることとなった。つまり、今度は日本企業に、身近なライバルである米国から成功の秘訣を習得する番が回ってきたのである。特に日本企業は、シリコンバレーの特徴である「活力」と「透明性」に高い関心を抱いた、とDore教授は述べている。技術革新においてはシリコンバレーのモデルを応用したり、取引の内容および管理体制を明確にすることで投資家の意欲を高揚させる方法に注目が寄せられた。確かに90年代は米国が生み出した高度技術への称賛で幕を閉じたが、その後のドットコムブームは多額の負債と共に姿を消し、EnronやWorldcomなど巨大企業の崩壊で新世紀を迎えることとなった。

今日の日本株式会社には、企業統治に向けた世界標準型の米国モデルと、自国の文化を尊重した日本独自のモデルのいずれかを選択する必要がある。その際、日本は社会として、順風満帆な経済に求められる基本的な文化的要素を備えているかを見極めることが大切である。Dore教授はこれらの要素を:生産主義(会計士以上にエンジニアを評価すること)、公益事業(公共サービスを自給自足と同等に重視すること)、平等(所得、権力のいずれにおいても極端な格差がないこと)、相互信頼(ビジネスはいずれにおいても公平を前提とするといった理解) として特徴付けている。

Dore教授は、日本人が画一的な米国モデルを拒む理由として、次の2点を挙げている。先ず、単に米国モデルの根底を成す価値が、日本で求められるそれと異なる可能性がある。例えば、米国のモデルでは株主への利益を重視するのに対し、日本のモデルでは社員の保護を最優先事項とするケースも多い。また、米国モデルにおける人的資源の文化的違いも、日本では現実性がないのかもしれない。米国では自社の最高幹部を社外から登用する企業が目に付くが、日本にはこうした風潮は無く、管理職に就く人材は社内から選抜する形が一般的である。日本企業のCEOは、自身を「生活共同体を統轄する村の長老」と位置付けている。コミュニティに対する責任感を持っているため、社外とのやりとりを公平かつ誠実に実行する傾向にある。

講演の締めくくりとしてDore教授は、日本企業が尊重する価値は、米国のみならず他のアジア諸国のそれと根本的に異なる点を指摘した。『Wall Street Journal』誌が、中国の大手公共企業からの買収を目前に控えた某日本企業の重役にインタビューを行った。その中でこの重役は、将来の売却先である中国企業とのやりとりを通じ、「株主らへの利益還元」に固執する中国企業の姿勢を不思議だと感じ取っている。この話は、同氏が指摘した国ごとで価値観が異なる事実を示唆するものであった。

ロンドン大学経済パフォーマンス研究センター (The London School of Economics Centre for Economic Performance)に関する詳細情報は同所の公式サイトにて閲覧できます: http://cep.lse.ac.uk  。また、スタンフォード大学Asia/Pacific Research Centerについては http://aparc.stanford.edu  を参照ください。

前回までのインタビュー

Upcoming Events,

eLearning Summit
2003年5月4日〜5月6日, Ritz-Carlton Huntington Hotel & Spa カリフォルニア州パサディナ

Eラーニング業界においては大型のコンファレンス。各種セッションでは、業界から の有識者による講演、研修のほか実際の導入事例も紹介していく。

Mobile & Wireless World 2003
2003年5月6日〜5月9日, JW Marriott Desert Springs Resort カリフォルニア州パームデザート

携帯および無線技術の利用による企業の収益性向上に焦点を当てたイベント。今年の 基調講演にはNancy Victory氏(米商務省情報通信局補佐官)を迎える予定。

CACS 2003
2003年5月18日〜5月22日, Adam's Mark Hotel テキサス州ヒューストン

コンピュータ監査、制御、セキュリティがテーマ。今年で33回目を迎える同イベント では、United Space AllianceのRussell D. Turner(社長兼CEO)による講演会も予 定されている。

DallasCon Wireless Security Conference
2003年5月22日〜5月25日, The Plano Centre テキサス州プラノ

無線セキュリティをテーマとした会議で、専門家らを講師に迎えた研修セッション(boot camp)の他、Wireless Security Expert Certification(WSEC)の試験も実施される。

DallasCon Wireless Security Conference
2003年6月1日〜6月5日, The Georgia World Congress Center ジョージア州アトランタ

通信業界の代表的な国際的コンファレンス。16回目の今年は、500社余りの企業が出展を予定(展示会は3日〜5日に開催)。オープニングの基調講演にAT&T会長兼CEOのDavid W. Dorman氏を迎えている。

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