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What's NewANovember 2006

Market Snapshot - 米国のIT市場をみる
今月のテーマ:デスクトップからWebへと移行するアプリケーションAJAX(エイジャックス)技術の波及 

国のIT業界における注目市場を月替わりで紹介する「Market Snapshot」では、市場の全体像やトレンドをわかりやすく説明。さらに役立つリンク集を活用すれば、該当市場や新製品に関するより具体的な情報も入手できます。当社では、特定の米国IT市場に関する調査をカスタマイズいたします。お問合わせは info@kanaboconsulting.com までどうぞ。

デスクトップからWebへと移行するアプリケーションAJAX(エイジャックス)技術の波及  

昨年来、Webブラウザに操作性の高いプログラムを統合させ、クライアント/サーバ間との連携動作により、双方向的なウェブサイトを開発する手法として、技術業界のキーワードになってきたAJAX(エイジャックス)。Asynchronous JavaScript + XMLの略称で呼ばれるAJAXは、90年代に発案され、以来、JavaScriptをはじめXML、CSS、XHTML、XSLT等の各種技術に基いた開発手法として標準化が進められて来た。通常、同期処理を基本原理とするWebの技術では、HTTPのリクエストを送信し、レスポンスを待ってからページが表示される。つまり、利用者にとっては、操作ごとあるいは異なるページへの移動ごとに待たされるというのが、当然のこととして捉えられてきた。これに対し、AJAXでは、ユーザが次に実行する操作やリクエストに応じた処理を、サーバだけに依存するのではなく、クライアントにも先読みさせて、自動的に行うことができる。その結果、利用者側ではリクエスト−レスポンスにおける時間的ギャップをあまり感じなくなる。

Google Map(マウスを使って画面上で地図画面を移動可能) は、AJAX技術を上手く活用した最近の例であり、言わば、同技術の広告塔にもなったサイトである。同サイトでの利用をきっかけに、現在のデスクトップアプリケーションとWebアプリケーションの境目が薄くなり始めている。マルチメディア・ツールを利用した双方向的なウェブページの構築手法は、これまで同様、高度なタスクに歓迎されるものだが、AJAXは、既存のウェブサイトに双方向性を追加するなどもっとシンプルなタスクの実現に適している。

このAJAXを利用してWebアプリケーションの開発に取組む新興企業は、ここ2年くらいの間で多数、見られるようになった。勿論、こうした新興企業が収束すれば、デスクトップアプリケーションの主導者Microsoftを征する事も可能か、という声も聞かれるが、長年に渡り9割を超える市場占有率を確保してきた同社に対峙し、必ずしもその代替え技術になるとは限らない。当然、Microsoftの顧客が今後、AJAXで開発した他社製品へと鞍替えする可能性はあるが、それを見据えて、MicrosoftもWebアプリケーションサービスに参入している。Live.comの通称で知られるプロジェクトでは、そのサービスの多くにAJAXが利用されている。Hotmailの次期バージョン(Windows Live Mail)もその一例である。

AJAXを基盤とするアプリケーションに関しては、以下のようなメリットが考慮されている: 1.ウェブ技術の活用により、企業ネットワークの外部からホスティングすることが可能。 2.Windowsに限定することなく、多様なOS上で稼働できる。 3.利用可能なプラットフォームの選択肢が広いことから、異種の機器に対応。 4.通常、データのバックアップ機能やデータ更新の送信機能が搭載されているため、ビジネスアプリケーションの管理を簡素化する等である。

このような利点を追求し、新興企業ではMicrosoft Officeのウェブホスティング版とも呼ばれる各種製品を発表している。その領域は、生産性向上を目指したオンラインアプリケーションに始まり、最近ではコミュニケーションの円滑化を目的としたものにも拡大してきた。例えば、Upstartleが開発した「Writely」と呼ばれるウェブベースのワープロ機能では、ユーザ同士でウェブページのコラボレーション、公開、共有が可能になる(同社は、今年3月にGoogleが買収)。この他、SilverOfficeが開発中の「gOffice」では、同社サイトで文書の作成・印刷が実行できる。さらに、同分野の草分け的存在であるZimbra(本社:カリフォルニア州サンマテオ市)でも、オープンソースのWeb型コラボレーションソフト「Zimbra Collaboration Suite」を提供。電子メールにカレンダーやアドレス管理機能を統合させ、Outlookに類似した製品として注目されている。

新興企業が開発する製品に関しては、近い将来、企業での幅広い適用に期待が寄せられている。勿論、これにはAJAX技術がビジネスとして通用できるレベルに達することが前提条件であり、その市場も土台固めが必要だが、そのいずれもが整えば、自社サイトの双方向性を強化する他、XMLで記述したデータの転送機能を活用し、複数の情報源からデータ収集を行い、マッシュアップサイトを開発する事も可能になるであろう。

Rising Company - Coghead社

Coghead, Inc.(コグヘッド)

■設立年:2003年5月

■ステータス:未公開企業

■所在地:325M Sharon Park Drive, #223 Menlo Park, CA 94025

■URL: www.coghead.com 

■社員数:17名(2006年9月現在)

■主な経営陣: Paul McNamara氏(共同設立者およびCEO:同社設立に先立っては、El Dorado Venturesの駐在起業家として務めていた)、Greg Olsen氏(CTO:2001年にPeregrine Systemsが2億2,700万ドルで買収したExtricityの共同設立者)、Brian Reaves氏(VP of Service Delivery)。2006年10月には顧問委員会にSteve Bourne氏をはじめJohn Seely Brown氏、Guy Kawasaki氏、Ariel Poler氏、Rocky Roccanova氏、Vishal Sikka氏と業界有識者6名が参画した。

■最近の資金調達状況: 今年初頭に完了した最初の調達ラウンドにて、El Dorado Venturesより320万ドルを確保。

■事業概要およびサービスの特長: エンドユーザが独自に開発できるDo-It-Yourself(DIY)型のウェブ構築サービス。その内容は多様だが、同社では特に、これまでカスタムアプリケーションの開発や、こうした業務の外部委託を強いられてきた法人向けに、ホスティングアプリケーションの開発サービスを専門としている。同社製ソフトにおける最大の特長は、ドラッグ・アンド・ドロップ/ビジュアル機能の搭載により、基本的なExcelマクロやデータベースアプリケーションを記述する程度の知識があれば、誰でもロジスティックス・トラッカーをはじめCRMプログラム、プロジェクト管理システムなど高度な企業アプリですら、簡単に構築できる点にある。この他、企業にとっては、新規のハード/ソフトウエアを購入する必要がない事、インターネットへの接続環境であれば、場所を問わずアプリケーションにアクセス可能な事、本質的にマルチユーザ対応である事、IT部門の煩雑な業務と干渉することなく、低コストでアプリケーションのカスタム開発が実現できる事、データとアプリケーションを集中/遠隔管理できる点でもメリットがある。Cogheadを利用してアプリケーションを構築する際、それに対応するウェブサービスのインターフェースが自動的に整備される。さらに、他のアプリケーションから外部のウェブサービスを統合させる機能も備えている。要するに、Google Mapや株式市場のフィードなど他のウェブサービスと統合できる、マッシュアップ・アプリケーションを構築するためのプラットフォームである。

■当該市場の現状と今後の課題: 同社製品は、パッケージソフトとカスタムプログラミングの中間に定義される。こうした製品に対する市場は、未だ完全に成熟していないが、規模としては非常に大きいと期待されている。一方、同分野における課題は、用語の統一感が欠如している点である。例えば、開発者の間で使われる「テーブル」や「ビュー」という表現が、Cogheadでは「コレクション」(フィールドのコレクションという意味)とされていたり、アプリケーションによって使用される用語が異なっている。競争のかなり激しい同分野で他社との競争に勝つためには、先ず、利用者が導入製品の選択を戸惑わないように、用語の標準化を行うことが必要であろう。

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This Month's Bridge Builder
Featuring the real voice of IT across the Pacific

July, 2006 

他国企業との連携が生み出す独創的な発想

大日本印刷株式会社 情報コミュニケーション研究開発センター センター長 斎藤 雅氏

Palo Alto Research Center(PARC) Principal Scientist and Manager of the Socio-Technical and Interaction Research (STIR) Group Victoria Bellotti氏  

技術革新の可能性は至るところに在って然りなのだが、現行の課題や困難な状況に対する新たなソリューションの開発に携わる人々が、その源となる場合も多い。米国のIT産業に関しては、ここで言う「人々」とは、概して新市場への参入を目指すスタートアップ企業や大手企業のR&D部門が該当する。日本のIT産業もこれに類似しているが、開発段階における構想には、一般的に企業内部の社員のみが関る点で米国の事情と異なる。今回のBridge Builderでご紹介するPalo Alto Research Center (以下PARC )は、Xerox社のR&D部門が2002年に独立したもので、Xerox社に限らず様々な産業や政府機関を対象に、戦略的なリサーチサービス、技術、知的所有権を提供しており、シリコンバレーはもとより米国内のIT業界では非常に知名度の高い組織である。また、日本企業に対するサービス提供の拡大により、伝統的な日本の企業文化を逸脱させるリソースとしても評価を受けている。大日本印刷株式会社(以下DNP)は、社内の人材に制限することなく、このPARCとの協力関係を通じても技術革新に邁進している企業である。今月の記事では、先般、経済ソサエティ主催のセミナー(『Gaining a competitive edge with Disruptive Innovation』)で紹介された両社間の協業についてお話をしたい。

印刷媒体では長い歴史を誇るDNP。同社の情報コミュニケーション研究開発センターでセンター長を務める斎藤氏によると、同社は電子媒体へと移行する社会の流れに沿って、事業拡張の手段を追求すると同時に、これまでの法人顧客に対する販売から消費者を直接ターゲットとした戦略に関心を寄せていた。この新たな目標を掲げるにあたり、消費者への直接的なアプローチは全く新しい領域であったため、IT業界における幅広い経験、評判、エンドユーザに特化した技術革新を強みとする点からPARCの協力を得ることにした。PARCとの協業関係におけるDNPの目的は、新しい電子媒体におけるビジネス機会に留まらず、従来とは異なった技術革新のプロセスを経験することにもあった。

一方、PARCにとっても、DNPの求めるものが自社の得意分野と合致する点に着眼。コンピュータ科学、人間/コンピュータ間の相互作用、社会科学、言語学の各分野における専門家で学際的なグループを組成し、DNPの研究者とのチームワークを実現させた。PARCのSocio-Technical and Interaction Research GroupにてPrincipal ScientistおよびManagerとして務めるBelloti氏の話では、このチームワークの結果、必要な市場分析、予備調査、ターゲット市場の選択、提案書の作成に至るまでの作業を僅か17週間で完成させた。PARCの自社開拓による各種ツールと業界での経験を通じて、DNPでは、消費者の「日常生活」を明確に認識しながら、これらのターゲットに対するアプローチの発想に役立てた。そして、最終的にはPARCがこうした豊富なアイデアを懸案した上で、DNPに対し新しい種類の媒体技術を提案するに至った。

今回のセミナーでは、DNPの新規技術に関する詳細は公表されなかったが、協業関係が、いずれの企業にとって有益な成果をもたらした事は明確である。Belloti氏によると、異文化間における協業関係においては、言語面および民族誌的研究を応用する点で、いくつかの相違を経験したものの、互いに納得のいく技術が見えてきたとして、成功を実感していた。一方、斎藤氏もPARCが、日本では馴染みの薄い民族誌的研究を用いたことで、「表面には見えないような人間の行動や痛み」が浮き彫りになったと振り返る。この両社間におけるコラボレーションの成果は、同プロジェクトが次の段階に入り、いよいよプロトタイプの開発を目前としている点からも覗える。

経済ソサエティの活動や詳細情報については、 www.keizai.org をご覧ください。また、PARCの事業にご関心をお持ちの方はDavid Weinerth氏(VP of Business Development)までお問合せください:David.Weinerth@parc.com 。 

前回までのインタビュー

Upcoming Events,

 

SecureWorld Expo
2006年11月1日〜2日, South San Francisco Convention Center カリフォルニア州サウスサンフランシスコ市   

4th Annual IT Infrastructure Management Conference & Expo
2006年11月5日〜8日, Venetian Resort ネバダ州ラスベガス市   

RFID Implementation: How to Evaluate, Justify and Deploy Your RFID Solution
2006年11月13日〜15日, Hawthorn Suites Desert Rose ネバダ州ラスベガス市

IT Roadmap San Francisco
2006年11月30日, Moscone Center West カリフォルニア州サンフランシスコ市 

Advanced Identification Systems with Biometrics and Security
2006年12月6日-8日, DoubleTree Crystal City ワシントンDC   

 

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